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2026.03.03
〖イベントレポート〗~広島からベルリンへ~ 『花緑青が明ける日に』特別試写会
いよいよ今週末3/6(金)全国公開を控えた映画『花緑青が明ける日に』。3/1(日)に広島にて「~広島からベルリンへ~ 『花緑青が明ける日に』特別試写会」を実施し、日本画家で本作監督の四宮義俊、マルチプレーンカメラを使用した特殊映像を担当した鋤柄真希子(SUKIMAKI ANIMATION)が登壇した。2024年に開催の「ひろしまアニメーションシーズン2024」でワークショップを実施した映画『花緑青が明ける日に』。花火シーンの制作を来場者の方々にお手伝いいただいたご縁から「ひろしまアニメーションシーズン2026」のプレイベントとして試写会&トークショーが実現!

上映後、2年前のワークショップに参加した方や試写会場の比治山大学短期大学部 美術科に通う学生など100名を前に四宮監督は「今の時代の新しさを大事にするために、人間が手作業でやっているということを大切にして作った作品です」と本作の魅力をアピール。“唯一無二”と称される本作の色については「アナログ素材と親和性のある色、ということを気にして作っていました」と明かす監督。続いて、ガラスの上に物理的に素材を置いて撮影するというマルチプレーンカメラ技法での創作活動を続けてきたアーティスト・鋤柄は「監督からはホコリやチリといった予期せぬノイズを残してほしいという指示がありました。それが一番印象に残っています。」とアナログ手法での風合いにこだわりを見せる監督とのやり取りを振り返る。

2年前のワークショップでは、白い紙に熊野筆と絵具で赤い線を描く作業と、黒い紙に小さな穴を開ける作業で花火シーンの制作を担当。そのワークショップに参加した方からは「(この作業は)どんな映像になるのかな?と思っていたが、“あんな大きな見せ場になるとは!”と驚き、とても幻想的でした。画や表現の美しさに感動する作品でした」と感想の声が。監督は「(ワークショップの皆さんと作った)あのシーンが花火シーンの中で一番気に入っています。広島の熊野筆もワークショップのためにご用意いただきました。花火からはお盆や終戦を感じると思っていて、そのシーンを広島の皆さんと作れた、ということに縁を感じています」と感謝を述べた。鋤柄は「いろんな人が線を描き、穴を開けることで予期せぬ動きをしていくんですね。それはひとりの人が手掛けることでは出せない面白味だなということを実感しました」とワークショップにて大勢の手で作り上げたからこその魅力に触れ、「場面や内容、コンセプトによってワークショップを積極的に取り入れていくということは大事だと改めて感じました」と語る。

ワークショップはもちろんマルチプレーンカメラ技法やストップモーションなど特殊な技法がふんだんに使われる本作について問われた監督は「アニメの世界からキャリアをスタートしたわけではないため、そういった方々と同じことをやるよりも実写とアニメを一緒に表現するなど、過去のCMやPVで実験的に繰り返していたんですね。だから実験的要素は自分の強みとして入れたかった」と説明。映画タイトルである“花緑青”という色について、「日本画には緑青(ろくしょう)という色があり、色の名前としては知っていたんです。本作の脚本づくりのために花火屋さんへ取材に行った時、“昔はハナロクというものがあったんだ”という話を聞き、日本画の絵具として使われていた顔料の花緑青と花火屋さんが使っていた花緑青が同じものだと気づいたんですね。そこに運命を感じ、この色を使いたい、自分が作る理由を見つけられたなと感じました」とおよそ10年に渡る構想・制作期間の中でたどり着いたモチーフであると明かす。
また、監督自ら関西に赴いてオファーした鋤柄について「会った際に、作家らしい作家でアーティストだなと思えたんですね。水中シーンを一番最初に作ってもらいましたが、すごくよく出来ていると思えたので安心して任せられました」と話し、「水中シーンはまずは監督からカオルの作画を見せてもらったんですね。作画から技法を考えるというキャッチボールがとても楽しかった。」と振り返る鋤柄。「水中シーンは3倍くらい長くしてもよかったと実は思っているんです。コンテを描いた時は不安で短めにしてたんですが、鋤柄さんによる出来栄えがあまりに良かったので、もっと物語に散りばめたらよかったと思っちゃいました」と微笑みながら鋤柄の仕事ぶりを讃えた
多彩な表現技法がミックスした映画『花緑青が明ける日に』は今週末3月6日(金)から全国公開となる。